Waza:手のためのAIコーチ
あなたと同じ視界を見ながら、実世界のスキルを声で導くAIコーチを作っている話 今いちばん声高に交わされている議論は、AIが人間の仕事を自動化してしまうのか、するならどれほど速くか、そして社会はその移行にどう向き合うべきか、という点に集中している。今月初め、経済学者やノーベル賞受賞者、テック企業の経営者たちが「We Must Act Now」と題した書簡に署名し、大規模な雇用喪失に警鐘を鳴らした。先週にはJensen Huangが、AIは「仕事ではなくタスクを消す」と反論し、恐れるべき向きがまるで逆だと断じた。どちらに転ぶかは重大な問題だし、どちらが正しいのか、分かったふりをするつもりはない。ただ確かなのは、この2か月で、恐れることがずっと少なく得るものがずっと多いAIの一角、つまり自分の手で自信を持ってできることを広げる領域にたどり着いた、ということだ。 その自信は、ずいぶん前から縮み続けている。知識労働のせいで、起きている時間の大半を画面の前で過ごすようになり、生活の物理的な側面は、ひとつずつ専門家の手に渡してきた。料理は誰かがやってくれる(レストランや、作り置きの宅配サービス)。8分で終わる作業のために配管工を呼ぶ。棚は便利屋が取り付ける。ひとつひとつの外注はどれも合理的だ。だが積み重なると、物理的な世界に対処する力は静かに衰えていき、ぽたぽた垂れる蛇口が、たいていは20分で片づく修理なのに、業者に電話をかける案件に見えてくる。 このまま進み続ける必要はない。Waza(技)は、その流れを押し戻そうとする試みだ。あなたと同じものを見て、目の前の作業をコーチしてくれるAI。この記事では、Wazaが今できること(デモ動画つき)と、この先どこへ向かうと考えているかを紹介する。iPhoneを使っていてMetaグラスを持っているなら、最後に招待がある。 例の蛇口に挑むとしよう。今の技術で頼れる先は2つあるが、どちらもそれぞれ違う形で力不足だ。チャットアシスタントは修理の手順を説明してくれるが、こちらの状況が何も見えていない。蛇口を見せるには作業を止めて手を拭き、写真を撮らなければならないし、返ってくる指示は言葉のままだ。本当に欲しいのは、やって見せてもらうことなのに。YouTubeが抱えるのはその正反対の問題で、すべてが実演、しかもやっているのは腕に覚えのある人だが、動画にはこちらが見えないので、どこを間違えているかは教えてくれない。作りかけのものがバラバラのまま転がる横で、チュートリアルの同じ15秒を何度も見返したことのある人なら、この壁を知っているはずだ。 代わりに欲しいのは、『マトリックス』でネオがカンフーを頭に読み込むあのシーンに近い(運動野への瞬間ダウンロードは抜きでいいとして)。スキルを読み込むと、コーチが作業を見守り、すでに知っていることに合わせて調整し、段落ではなく映像で正してくれる。人間はテキストより動画のほうがはるかに速く吸収できるからだ。誰かがタイヤを交換するのを実際に見るのと、グローブボックスの説明書を読むのとの違いだ。 そんなコーチがチャットウィンドウに収まるはずがない。手をふさがずに付き添い、ちらりと目をやれば映像が視界に入る位置に出してくれる必要がある。その体験を支える技術は、おそらく段階を踏んでやってくる。まずは作業の横に立てかけたスマホがクリップを再生する。次は、ディスプレイ付きグラスのレンズに同じクリップがピクチャー・イン・ピクチャーで映る(第1世代はすでに店頭に並んでいる)。そしてフルARグラスが広く普及すれば、手元のものの上に直接ヒントが描かれるようになる。段階が進むごとに、フィードバックは目に近づいていく。 そこで6月に立てた問いはこうだ。このうちどこまでが今すぐ作れるのか。やってみると、かなりの部分が作れた。WazaはMetaグラス(なければスマホでも)とペアリングするiOSアプリで、一人称視点の映像をAIコーチにストリーミングする。コーチはスキルの各ステップを声で導き、質問には1秒ほどで答える。 スキルの各ステップには、取るべき動作を実演する短い一人称視点クリップが付いていて、コーチが適切なタイミングで適切なクリップを再生する。ステップを見せてと頼んだり、手元でしくじったりすると、クリップがスマホに表示される。スマホは近くに立てかけておけばよく、ちらっと目をやるだけで、両手は作業に置いたままでいられる。これが、しゃべるチュートリアルとコーチの分かれ目だ。カタログはまず12種類ほどのスキルから始まる。ネクタイの結び方から、配線のはんだ付け、ステーキをフライパンで焼くコツまで。 (すでにMetaグラスを持っていて自分で試したい人は、招待まで読み飛ばしてもらって構わない。) コーチの価値はスキルカタログ次第なので、スキル作りは簡単でなければならない。実は、最近の動画理解モデルを使うと、これがほぼ自動になる。スキルを作るには、作業を一度通しでやりながら実況し、その映像をアップロードするだけでいい。パイプラインが映像をステップに分割し、各クリップをトリミングし、肝心の動作にズームし、ステップごとのコーチング用プロンプトを書き上げる。10分のデモが2分半ほどで、誰の手も借りずに、コーチ付きの完全なスキルになる。 ここで取り除かれる手間こそが肝心だ。見るに堪えるYouTubeチュートリアルを作るのは、いまやちょっとした映像制作だ。台本、撮り直し、照明、そしてFinal Cut Proのような編集ソフトに費やす何時間も。そのハードルが、実際にスキルを持っている人たちの大半をふるい落としている。Wazaが求めるのはワンテイクだけで、編集はアプリ側が引き受ける。生の声がそのまま公開されることはなく(コーチを導くのは言葉の中身だけだ)、演技をする必要もない。料理、DIY、手芸、プロの技術、何であれ、やり方を知っている人なら、カメラの前で一度やって見せるだけで教えられる。 アプリは今も親指を前提にしている。メニュー、検索バー、詳細ページ、どれもタップするために作られていて、タップこそ、濡れた手、油まみれの手、ふさがった手にはできないことだ。Wazaでは、コーチがアプリの操作も引き受ける。カタログを検索して、カテゴリーを見せて、スキルのページを開いて、と頼めば、手は作業に置いたまま、画面のほうが動く。スキルの読み込みも、セッションの開始も一時停止も、すべて声で済む。 こういうことは、少し前まで現実的ではなかった。OpenAIのGPT-Realtime-2.1のような音声モデルは、会話の途中でツールを呼び出せるようになった。つまり、ステップをコーチしている同じモデルが、アプリのボタンも押せるということだ。音声操作はとっくに、「『メニュー』と言ってください」式の壊れやすい体験ではなくなり、スマホを手に持ってくれている人と話すのに近いものになっている。今年のテックで最も見過ごされている変化のひとつだと思うし、両手がふさがっているときほどそれが効く場面はない。 カメラ付きグラスの評判は今のところ芳しくないし、理由がないわけでもない。世間に広まるのは、撮られることに同意していない他人へカメラを向ける装着者の話で、その不安は2013年のGoogle Glass以来、このカテゴリーにつきまとっている。 コーチングは、その正反対の使い方だ。セッション中のカメラが向くのは、自分の作業台やコンロの上にある手元の物であって、他人に向くことはまずない。しかも、この形は作業のためにあつらえたようにぴったりだ。手は自由なままで、カメラは自分と同じ角度から対象を見て、まわりを動いても視線と一緒についてくる。アプリひとつでカメラ付きグラスの評判が直るわけではないが、こういう使い方が積み重なれば、いつかは変わるかもしれない。 次の一歩は、Wazaが現場で本当に役に立つのか、どこで力不足になるのかを確かめることだ。短期的にやることは2つ。体験をなめらかにする機能を出していくこと(コーチにスキルの追加や修正を頼めるようにする、自分のデモ撮影を案内してもらう、といったところだ)と、みんながスキルを試し、自作し、受け渡していくのに合わせてカタログを育てることだ。このループが一周するたびに、コーチはさらに役に立つようになっていく。 繰り返し考えてしまうのは、ユーザーとスキルが臨界質量に達したときに何が起きるかだ。スキルはステップでできていて、ステップは組み替えられる。後輪がパンクした電動アシスト自転車を思い浮かべてほしい。チューブにたどり着くには、まずモーターのケーブルを処理する必要があるが、そのものずばりのスキルはまだカタログにない可能性が高い。それでも、自転車整備士のパンク修理スキルと、電子工作好きのケーブルコネクタスキルの両方がカタログにあれば、AIはそれぞれのステップをつなぎ合わせて、誰も書いたことのない修理ガイドを組み立てられる。これがコンポーザビリティ(composability)で、カタログの価値をスキルの総和以上のものにする。グラスをかけて「これを直したい」と言えば、その場で自分向けのスキルが、視覚的なヒント付きで組み上がる。 規模が大きくなれば、人間の側も変わる。試してみたい場面のひとつが、組織的なトレーニングだ。すでに実技を教えている場所が、セッションを遠隔で運営し、AIが行き詰まったらすぐ人間のガイドが引き継ぎ、数百人が同じスキルに同時に取り組む。この引き継ぎの部分は、今のWazaですでに動いている(たぶん、それだけで記事がひとつ書ける話だ)。 そういう未来になら、喜んで時間を使いたい。より多くの人が(子どもも含めて)、ソフトウェアが代わりに動くのを画面で眺めるのではなく、成功できるだけの導きを受けながら、現実の世界で本物を作り、直していく未来だ。作る価値があるかどうかは、ユーザーにしか教えられない。下の招待はそのためにある。カンフーの読み込みはまだ無理でも、みんなのためのコーチングなら、もう手の届くところにあるのかもしれない。 初期テスターの小さなグループを集めている。この種の技術に心が動き、粗削りな部分も受け入れられる人たちだ。どのみち小さく始めるしかない。Metaは2026年に公開が解禁されるまで、アプリごとのグラステスターを100人程度に制限しているからだ。メインのスマホがiPhoneで、Metaグラス(Ray-BanまたはOakley)を持っていて、写真と音楽以外の使い道を探しているなら、連絡してください。TestFlightのビルドとグラスの招待を用意する。グラスは持っていないが気になるという人には、ストアのリンクをどうぞ(手数料も提携も一切なし)。 それから、隣接する何か(リアルタイムの案内、一人称視点動画、スキルの記録、実技の指導全般)を作っていたり教えていたりするなら、ぜひ情報交換したい。同じ連絡ページから、取り組んでいることを教えてください。
今ぶつかる壁
Wazaが今できること
一度録れば、ずっとコーチ
タップするものがない
カメラ付きグラスにふさわしい仕事
この先の話
招待
この記事はClaudeと協力して執筆しました。